【米津玄師】2ndアルバム『YANKEE』をガチで全曲レビューしてみた。

2018年6月28日

今回は、前回の1stアルバム『diorama』全曲レビューの記事が大好評だったので、引き続き同じ企画を2ndアルバムの『YANKEE』を通してやっていこうと思います。

YANKEE [ 米津玄師 ]

このアルバムは『アイネクライネ』や『サンタマリア』、『ドーナツホール』といった米津玄師の代名詞のようなキラーチューンが多く名を連ねているのと同時に、『花に嵐』や『ホラ吹き猫野郎』などといったPVの無いアルバム曲にも名曲がたくさん詰め込まれているのが特徴で、どのアルバムよりもこのアルバムが1番好きだというファンも少なくありません。

この記事では各曲の歌詞解釈記事のリンクも貼ってありますので、ぜひ気になった曲があればチェックしてみてくださいね!

それでは『YANKEE』のレビューをどうぞ!

「プロデューサー気質への変化」がYANKEEの本質的な意味

YANKEEは「移民」という意味で、ボカロというオンラインの世界から米津玄師という生身の体を用いて音楽を鳴らすオフラインの世界への移動の意味が込められて今回の2ndアルバムのタイトルに名付けられています。

単純な「彼の活動の場」の移動という意味のみにとどまらず「自分が気持ちいいと思っている楽曲だけの自己満ではなく、誰もが受け入れられるような楽曲作りへと気持ちの面でも「移動」したこと」が実は裏のメッセージとして込められています。

いわゆる自分の想いだけで作品を作る”アーティスト”ではなく、お客さんからはどう見えるかといったことも考える”プロデューサー”目線で作品を作ることになったということをこのアルバムを通じて示しているというわけですね。

そのため、前作の『diorama』とは違って難解な歌詞やメロディが減ったことは今作と聞き比べればすぐに分かるかと思います。

そういった意味合いなどを踏まえた上で、各楽曲のレビューをしていきましょう!

 

1.生きづらい世界で自分の価値観を表出する『リビングデッド・ユース』

ギターのカッティング音と打ち込みの機械的な音による疾走感溢れる楽曲『リビングデッド・ユース』がアルバムのスタートを飾ります。

青春時代に感じる「他人からは理解されにくいであろう自分という異質な存在をこの生きにくい世界でどう証明していくか」という気持ちを「生きた屍=リビングデッド」という比喩を通じて表現するこの作品は、きっと米津さんの青春時代の鬱屈とした思いから作られたのだろうと分かる1曲です。

Cメロの歌詞が特にこの曲で伝えたい部分を表しているので、個人的にはここに注目して曲を聴いてもらえたらなと思います!

リビングデッド・ユースの歌詞解釈記事はこちらで、PVは以下から見ることができます。

 

2.愛という暴力でぶん殴る『MAD HEAD LOVE』

『YANKEE』の中で1,2を誇るほど「意味が分からない歌詞とPV」だと思われるこの楽曲。

BPMがかなり速く、ギター以外に鳴っている不思議な音がこの曲の摩訶不思議なニュアンスを増長します。

単純な愛しさだけではなく「憎しみも愛情になる」という真逆の感覚をも”愛”と定義し、その暴力とも言える相反する性質も引っくるめて「あなたが好きだ」という愛情表現に仕立ててしまう米津さんのセンスがぶっ飛びつつもかなり本質的です。

MAD HEAD LOVEの歌詞解釈記事はこちらで、PVは以下から見ることができます。

PV見れば分かるんですけど、この人、男から見ても本当に指が綺麗すぎて驚きます。

 

3.ありふれた音楽シーンへの反逆を表した『WOODEN DOLL』

軽快な8分の6拍子のアコースティックソングで人気なこの曲。

実はサウンドが楽しげな側面とは裏腹に、このアルバムの中で1番リスナーの心の弱いところを突ついてくるのがこの『WOODEN DOLL』なんですよね。

「言い訳ばかりして逃げ出してはそんな自分が嫌いになっていく」という誰もが抱える心の闇のような部分を持つ主人公に対し、米津さんが「それはそれで君の弱さも君らしさだし、君だけが悪いわけじゃないから大丈夫」と肯定しているCメロの歌詞が秀逸で、ZIP!に米津さんが取り上げられた時もここの歌詞が長めにオンエアされていたのを記憶しています。

WOODEN DOLLの歌詞解釈記事はこちらで、PVはこちらの「木偶の坊」を模した背の高いだけの人形を燃やしていくという強いメッセージ性が特徴的なものになっています。

 

4.米津玄師をメジャーな存在へと引き上げた立役者『アイネクライネ』

「米津玄師=アイネクライネ」となるほどまでに彼の代名詞として認知された1曲ですね。

有無を言わさないメロディの美しさと米津さんの優しいボーカル、切ない歌詞が十二分に発揮された楽曲で、この曲のサビが東京メトロのCMとして使われるやいなや、あっと言う間に彼の人気が全国級となったのは記憶に新しいです。

この曲はPVのイラストも米津さんの手書きだったので、彼がマルチクリエイターであることも同時に広まっていくことになりました。

アイネクライネの歌詞解釈記事はこちらで、PVは以下から見ることができます。

歌詞の意味が分かると、余計に自分の小ささや孤独感と重ね合わせて曲を自分ごととして聴くことができるので大変オススメです。

 

5.あなたの憂鬱も料理されてしまう?『メランコリーキッチン』

ギターのカッティングやミュートピッキング音に乗っかってくるシンセのちょっと暗めなメロディが憂鬱さを演出しつつも、矢継ぎ早な歌詞が歌われる気持ちのいいボーカルが癖になるのがこの『メランコリーキッチン』。

「憂鬱な気持ちを調理し食す」というちょっと変わったアプローチで、主人公の抱える憂鬱さを食べてくれる恋人への想いを歌った楽曲となっています。

アルバム曲にもかかわらず、米津ファンの中でもこの曲はかなり人気の高い楽曲で、オフ会のカラオケでもよく歌われるんですよね…。

(メランコリーキッチンの歌詞解釈記事はこちらです。)

 

6.誰もが持っている呪いを赦す1曲『サンタマリア』

神々しいシンセサイザーのイントロに力強いバイオリンが「救い」や「光」を感じさせる極上のバラードロックとなっているこの1曲。

歌詞も「どんな過去があったとしても、その過去が今の自分をつくっているのだから、それを赦してあげよう」という肯定の歌となっています。

実はメロディが美しいだけでなく、サンタマリアはYANKEEというアルバムのコンセプトを1番体現している楽曲なのはみなさんご存知だったでしょうか?

今までの米津さんは自分の苦しみを楽曲にして表現していましたが、このサンタマリアから上述の肯定感というものを曲に込めるようになったんですよね。

PVは以下になります。初めて米津玄師が自身の姿を公開したことが話題になりましたが、当の本人は多分まだあまり出たくなかったのか、かなり顔を隠すような演出が多めになっています。

(サンタマリアの歌詞解釈記事はこちらです。)

 

7.超王道ロックに美メロが重なる『花に嵐』

アルバムの中で4人バンドの骨太なロックミュージックは意外とこの曲だけかもしれません。

小説のような世界観で進む歌詞に、爽やかだけど力強いギターリフが耳に気持ちいい1曲で、アルバム曲にもかかわらず非常に人気のある1曲になっています。

米津さんのいつもの独特な音楽という感じはあまりしませんが、それでもメロディのキャッチーさはそのままに純粋なバンドロックにしているのが本当に器用だなぁと思ってしまいますね。

個人的にもこのアルバムで1番好きな曲は?と聞かれたらこの曲を挙げてしまうかもしれません!

(花に嵐の歌詞解釈記事です。)

 

8.和を感じるメロディに揺れる海の波が垣間見える『海と山椒魚』

徳島県で生まれ育った米津さんだからこそ出てくるような「これぞ和」といったメロディに、海と夏をモチーフにした儚い歌詞から浮かんでくる海と揺れる灯火の情景に心打たれるミドルテンポな楽曲です。

『サンタマリア』や『眼福』といった曲も収録されているものの、ロックの要素を残しながらここまでゆったりとした世界観の曲も作れるというメロディメーカーとしての才能の幅も感じさせるこの曲には隠れたファンも意外と多いです。

(海と山椒魚の歌詞解釈記事はこちらです。)

 

9.米津節が存分に盛り込まれたギターロック『しとど晴天大迷惑』

先ほどのミドルテンポとは一転して、高速BPMに強烈なギターリフが印象的なアップテンポな曲がこの『しとど晴天大迷惑』。

サビ後半の「ハチャメチャ」の部分で微妙に裏声になるところとか2番Aメロの三三七拍子とかがやたら癖になるんですよね。。

歌詞は一見すると猿が火を吹いたりと意味不明に見えますが、よくよく解釈していくと「とにかく今のこの状況を変えたいなら、ああだこうだ言ってないで動くんだ」という意味の歌詞になっていることが分かるので、米津さんがこの曲に込めた意味がよく分からない…となっている人は解釈記事をぜひ読んでみることをオススメします。

(しとど晴天大迷惑の歌詞解釈記事はこちらです。)

 

10.「素朴な愛」がアコギ1本で歌われる『眼福』

このアルバム唯一のアコギ1本の弾き語り曲。

これまでの重厚なサウンドとは違うシンプルな楽曲だからこそ、優しい米津さんの歌声がスッと心に染み渡ります。

きっとやって来るであろう「死」というお別れを意識しつつも、今の前にいるあなたという存在を目にできているだけで幸せであるということが歌われているこの楽曲は、大切な人を想いながら聴くと自然と涙が零れてくる、そんな必聴の1曲です。

(眼福の歌詞解釈記事はこちらです。)

 

11.大正ロマンな雰囲気が溢れる『ホラ吹き猫野郎』

どこか古き良き日本の感じがする曲で、歌詞も「すちゃらか」「碌々ない」といったちょっと大正時代のようなニュアンスのある、現代日本人があまり使わないような言葉が散りばめられています。

裏拍で刻まれるギターもどこか昔の歌謡曲のようなメロディセンスが感じられ、余計に昔ながらな世界観へとリスナーを引き込んでいきます。

この曲は裏声さえ出れば米津さんの曲の中でも結構音域的には高くない方なので、カラオケで歌うのにもぴったりです。

(ホラ吹き猫野郎の歌詞解釈記事はこちらです。)

 

12.タイトルの意味が分かるとアッとなる『TOXIC BOY』

この曲はイントロから奇妙な効果音や笑い声などが入っているギミック感満載の楽曲です。

歌詞は音楽というものに中毒になってしまった米津さんだからこそ描ける「自分の好きなものにのめり込んだ男の子」のことを歌っています。

「たたた大変だ」という歌い出しがとてもチャーミングで、そういうお茶目さのようなものも含めてこの曲は丸ごと米津節として感じられるそんな1曲です。

(TOXIC BOYの歌詞解釈記事はこちらです。)

 

13.現代に音楽シーンに現れた妖怪『百鬼夜行』

先ほどの『ホラ吹き猫野郎』と同じような和のテイストを持ちつつも、こちらはどちらかというと妖怪の曲なのでもっとオドロオドロしい感じがするサウンドになっているのがこの『百鬼夜行』です。

イントロのメロディやギターのチョーキングがこの妖怪の珍道中らしい世界観を表現できているのは、少しでも音楽を作ったことがある人からすると本当に上手いなぁと思うんじゃないかなと!

米津さん自身が皮肉たっぷりに現代の音楽シーンを揶揄しつつ、「自分たちがこのシーンに登場した妖怪である」と逆にそのシーンに挑戦状を突きつけるような歌詞が印象的なので、歌詞の意味にも注目して聴いてみたい1曲です。

(百鬼夜行の歌詞解釈記事はこちらです。)

 

14.”過去”と”未来”の隙間で何を想うか『KARMA CITY』

「これってdioramaの楽曲じゃないの?」と言いたくなるほどアルバム随一暗い楽曲がこの『KARMA CITY』です。

どんよりとしたゆっくり目のメインボーカルに対して、微妙に歌詞を変えた追っかけボーカルがついてくる構成の楽曲で聴いていると癖になってくるスルメ曲です。

歌詞の内容は、仏教用語である”カルマ”を題材に「今」という時間軸にどれだけ本気で生きられるかという米津さんのアーティストとしての生き方のようなものが読み取れる歌詞になっているので、歌詞の細かい意味合いも見逃せません。

(KARMA CITYの歌詞解釈記事はこちらです。)

 

15.進化したボカロPの凱旋曲『ドーナツホール』

ボカロPとして名を馳せたハチ名義で久しぶりに出されたボカロ曲をセルフカバーして米津玄師の大人気楽曲の仲間入りを果たしたのがこの曲。

少し早口な裏拍の歌メロに謎の歌声が乗っかるギターリフが高い中毒性の秘密で、サビで一気に盛り上がる曲構成がライブで多用される理由です。

「心に空いてしまった穴」をドーナツの穴に見立てて歌われる歌詞の意味もなかなか深いものがありますので、ライブに行く予定のある米津ファンは要チェックです。

ドーナツホールの歌詞解釈記事はこちらで、PVは以下になります。

こちらもPVのイラストは米津さんの手書きなので、そのクオリティの高さもぜひ注目してみてくださいね!

まとめ

YANKEEの全曲レビューをしてみましたが、いかがだったでしょうか?

このアルバムは初めて米津さんがバンド形式で曲作りを行ったことから、いわゆる「ギターロック」と言われる曲が多く作られていることが分かりますが、その中にもボカロPとしてのキャリアを感じさせる「中毒性の高いメロディセンス」や「世界観の土台を支える様々な打ち込み音」がミックスされて唯一無二な音楽になっていることが分かります。

ファンの中でもイチオシされることの多いこのアルバム、ぜひ聞いてみてくださいね!

 

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YANKEE [ 米津玄師 ]