【新卒採用】採用ブランディングのやり方、全てまとめました。

2018年5月10日

BtoB企業・中小企業・ベンチャー/スタートアップ企業の人事のみなさん、採用上手くいっていますか?

「無名だから上手く採用できるわけない…」という声も聞こえてきそうですが、「採用ブランディング」でそのお悩みは解消できる可能性が高いです。

「そんなこと知ってるわ!」っていう勉強熱心な人事の方でも上手く作り込めているのか?というと、そうでもないような事例がちょこちょことネットには転がっています…。

そこで、今回はその採用ブランディングを普段コンサルしている自分から「実際に採用ブランディングをやるならこう!」という具体的なお話をさせていただければと思います。

採用ブランディングって結局なんなの?

採用ブランディングという言葉が出てある程度時間が経った2018年現在ですが、採用ブランディングに成功している企業がちらほらと各種メディアで散見されるようになってきました。

「大手企業の内定を蹴って、優秀な学生がうちの企業に来てくれた!」なんて喜んでいる人事採用者の方の記事、勉強熱心な人事の方なら一度は読んだことがあるのではないでしょうか?

たしかに、採用ブランディングが成功するとメリットとして「自社にとっての優秀人材が集まるようになる」「学生集客の労力が年々削減されていく」「金銭的採用コストを削減することができる」「内定辞退率が下がる」など嬉しいことづくめです。

こちらの記事だと「応募0から数年で内定出し約20名まで伸ばした事例」なんかがありますね。

https://at-jinji.jp/blog/11617/

 

しかし、悲しいことに「採用ブランディング」という言葉だけが一人歩きし、それを変に誤解した人事の方が、なんだか目的の分からないおかしな良く分からない選考や採用HPを用意しているだけの企業も見受けられます。

採用はもはやマーケティングですので、「他の企業が成功している事例だからうちもやる!」なんて短絡的なことをやっても企業フェーズや欲しい人材、企業文化がそれぞれの企業で違うのだから意味がほとんど無いのです。

そこで、今回は改めて採用ブランディングの目的と手法、その結果について説明していきたいと思います。

 

採用ブランディングとは

採用ブランディング

まず、採用ブランディングという言葉を分解して考えてみましょう。

言わずもがな「採用」+「ブランディング」ですよね。

 

■「採用」・・・企業が人を採ること(雇うこと)。

■「ブランディング」・・・自社のブランドを構築し、ターゲットにブランドを認知・体験させていくこと。

 

言語の意味は色々な本やサイトなどで微妙に定義は違うものの、本質的には上記の意味から大きくズレないはずです。

つまり、「採用ブランディング」とは「ターゲット学生に対し、自社のブランドを選考を通じて認知・体験させ、ファン化させること」に他ならないわけですね。

なので、ただ単純に面白い採用手法やクリエイティブを作ったとしても、”自社らしさ”が抜けているのであれば、たとえ話題になったとしても忘れられてしまいます。

お笑い芸人の「一発屋」みたいなものですね。

 

なぜ採用ブランディングが必要なのか?

そもそも、学生にとって大手企業・有名企業以外は聞いたことも何もないような企業がほとんどなわけです。

だからこそ「他の企業と何が違うのか?」を分かりやすく打ち出して、「なるほど!ここの企業はこういう文化があってこういうビジネスをやっていて云々、だからこそ自分に合っている会社なんだ!」というように認識させる必要があるわけですね。

※ちなみにこれは中途採用も同じことが言えます。

※ただ、中途採用の方が求職者側が「年収・福利厚生」をより重視して考える傾向にあるため、ここを軸に勝てないとなかなか採用に至らないケースも少なくありませんので、そこは留意してください。

 

そもそもブランディングとは

さて、残念なことに「そもそもブランディングってなんぞや?」というところを分かって使っている人が人事採用者の中には圧倒的に少ないと僕は感じています。

というか、「ブランドとブランディング」の違いもよく分かっていない人事もいるのではないでしょうか?

もし「ブランドってシャネルとかグッチとかだよね?」というレベル感であれば、最低限以下の内容は3周くらいして頭の中にインストールしてください。

 

■ブランド・・・その商品・ヒト・企業の「らしさ」

■ブランディング・・・brand+ingなので、ブランドをブランド足らしめる文化・行動・ビジュアル…etcを取り続けること

それぞれの言葉の意味はこのようになります。

 

分かりやすく理解するために、スターバックスを例に取りましょう。

例えば、スターバックスの店員が頼んでもいないのにオススメの飲み物のカスタマイズを伝えてきたり、カップにメッセージを添えるなんて行動を見かけることって店舗に行くとよくありますよね?

あれは「お客様に徹底して気持ちのいいコミュニケーションを取ろう」というスターバックスの文化が店員の行動レベルまで浸透していることの表れになり、その気持ち良さを感じたお客さんが「スタバは接客レベルが高いから、どうせカフェに行くなら他のブランドでなくスタバを選ぼう」というようにファン化するわけです。

このコミュニケーションの質が、いわゆる“スタバらしさ(=ブランド)”になっていきます。

そして、そのブランド浸透行為が長く続いて多くの人が認知する(=ブランディング)と、例えば人事面接者あるあるなケースで言えば「あぁ、あの子は挨拶的にスタバの店員らしい感じがするコミュニケーションの子だね」なんて感じになって、「スタバのアルバイトをしているのであれば、コミュニケーション能力は比較的高いと理解してもよさそうだ」といった体験認識になっていく、といった流れです。

長くなりましたが、これがブランドとブランディングの違いですね。

 

採用ブランディングを失敗する人事

採用ブランディングを失敗する人事

採用ブランディングを失敗してしまう人事の人は、当然ですが先ほどの「ブランド・ブランディングの意味を履き違えている」という要素の他に、下記の要素を考えないが故に失敗するケースも多く見受けられます。

マーケティングに精通している人からしたら、「そこから考えていないの??」というものばかりかもしれませんが…(笑)

では、1つずつ見ていきましょう。

 

理想人材のターゲット定義が甘い

とにかくこれが出来ていないとどんなに手の込んだ選考や採用パンフレットなどを作っても水の泡になってしまいます。

マーケティングの基本ですが、商品を売るのに「誰に売るのか?」がしっかりと定まっていないものは売れませんよね?

だからこそ、「今、うちの会社はどんな人材が必要なのか?」というシンプルな問いに対して、現場目線・経営目線・人事目線・学生目線など、数多くの視点から人事採用者が向き合っていくことがキーとなります。

そこが決まってからやっと「自社の魅力をどう伝えるか?」というHowの部分を考え始めるわけですね。

 

従来のESと面接で学生の全てが分かると思い込んでいる

「弊社を希望する志望動機を300字以内で書きなさい」「自己PRを1分でお願いします」。

ぶっちゃけ、これで応募学生の能力ポテンシャルや本当の性格って見抜けますか?

ましてや、人事じゃなくて現場社員の人が面接する際にその見抜き方を少しでも理解していますか?

 

今までのターゲット選定やブランディングの考え方が分かっていても、この手段レベルのところが意味を成さないのであれば、採用ブランディングの意味合いが無くなるわけです。

また、既存の採用方法は良くも悪くも「面接官の主観」が入り込みやすいという側面を持っています。人間はバイアスがかかりやすい生き物なので、見た目の好みや学歴、自分との共通点の多さなどから本質的には落とす人物に対しても好印象を抱いて通過させてしまうという現象をどうしても引き起こしてしまうのです。

(脳の認知バイアスについて詳しく知りたい人は、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読むことをオススメします)

 

これらのミスを防ぐためにも、採用ブランディングにおいて「選考フローのつくり込み」はとても大切になっていきます。

説明会だけが会社を説明する場ではなく、1次選考も2次選考も、せっかく学生と直接コミュニケーションを取れるタイミングなのですから、ここでも「どういう人が欲しいのか・うちの企業らしさをどう体験して知ってもらうのか」をしっかりと設計する必要があるのは至極当然のこと。

だからこそ、既存の採用手法ではなく、独自の採用手法が必然的に必要となってくるのです。

 

採用ブランディングを成功させるには

採用ブランディング_成功

ここからは採用ブランディングを成功させるための具体的なプロセスを提示していきます。

実際、採用ブランディングをどうやるかについては記載の少ない記事ばかりがネットに転がっていて、これは読んでも出来ない人事の人が少ないのでは…と思っていたので、長くなるかもですがだいぶしっかり目に書いていきます。

 

①「今、どんな学生がうちの企業に必要なのか?」を洗い出す

先ほどの理想人材のターゲット定義に対応するパートですね。

ターゲットの定義の方法は「経営戦略・事業戦略(ハード)」と「社風・社内文化(ソフト)」の大きく2つに分けられると僕は考えています。

経営戦略・事業戦略から考える(ハード)

そもそも人事戦略は、今の会社のフェーズやこれからの経営戦略、そこに紐づく事業戦略に基づいて決まってくるわけなので、経営目線で社長よりも誰よりもヒトに関しては先を行って提言していかなければならないわけです。

だからこそ、「人事はバックオフィスだから」という考え方ではなく、現場目線も経営目線も含めてあらゆるレイヤーで人事施策を考えられる素養が必要となります。

社内カルチャー・既存人材たちとのフィットから考える(ソフト)

また、組織のソフト面として「どういう特徴を持つ人材が企業に合っているのか」と「どんな人材が評価されているのか」は非常に大切です。

まず前者で、当たり前ですが恋人選びと同じで「ノリが合うかどうか」はかなり大事な要素となります。

普段からお祭り騒ぎで盛り上がる人が多い中で、そういうノリが無理な人がもし入社してしまったらまあまあ地獄ですよね?

一方、後者に関しては、「活躍人材」を定義して、どういう性格特徴を持つ人材を採れば業績に結びついてくるのかを定義してあげる意味合いでとても大切になってきます。

ではどうすればいいかいうと、適性検査分析をしてその企業全体の社員の性格特徴を見出したり、その中で社内評価の高い人材の特性を洗い出したりなどすることで、定量的に見えてきます。

このように「経営・事業戦略目線」と「企業文化」をミックスして、どういう人材を採用していくべきかを人事採用者は考えなければならないのです。

 

②自社の強み・特徴を洗い出す

自社の強みですが、これも実は先ほどの「ハード」「ソフト」で分けられると僕は考えています

独自のビジネスモデル・技術などのアセットを持っている場合は「ハード」、強い理念や独特な社内文化がある場合は「ソフト」といった具合です。

特にソフト面の「理念」に関しては、基本的に他社と被らない部分なので強く押し出していけると大きな差別化につながります。

もし、理念が形骸化してしまっている企業があるとしたら、それは企業がどこに向かうのかの指針がないことと同義のため「経営レベル」でまずいので早急に別軸の論点で課題解決をすることをオススメします。

 

さて、ここで注意すべきは「年収・福利厚生」などのスペックで勝負を仕掛けてはいけないということです。

年収で会社を決める人は社内評価が高まった段階でより年収の高い会社に転職してしまう可能性が高いですし、福利厚生を求める人も同様の現象が起こりやすくなっていきます。

たとえ年収1000万円は出せても3000万円が無理ならば外資系コンサル・金融などには負けてしまう可能性があるので、その優秀人材はずっとは企業に居続けてくれない確率が高いです。

なので、なるべく「その企業ででしか体験できないこと」をフックに採用を進めるのがベターなのです。

 

③「採用コンセプト」をつくり込む

ここからは少しばかりアイディア力が必要となっていきます。

まず、採用コンセプトとは「応募者に対して、説明会や選考などを通じて発信するメッセージを束ねる一貫した軸・世界観」のことを指す言葉です。

具体例で説明した方が分かりやすいと思うので、例を出して解説します。

三幸製菓社の「カフェテリア採用」はまさにそれに当たります。

これは「カフェテリア」のメニューを色々選べる特徴にかけて考案されたのでしょう、「欲しい学生像に合わせて選考フローを複数コース用意することで、あなたの性格や能力をしっかりと評価して採用する」というメッセージアウトをすることに成功しています。

こういう上位概念(=What)があるからこそ、具体的な選考フローや企業パンフレット(=How)に繋がっていくわけですね。

 

④学生が企業のことを理解できる選考フローを構築する

学生にとって、企業の見えない部分を知るとなった時に必要な要素としてはおそらく「ヒト」と「モノ」に集約されると思います(決算情報からカネの部分は見えるので)。

 

「ヒト」であれば、社員の性格特徴や社風が項目としては挙がってきます。

性格面は適性検査でふるいにかけるのも良しですし、社風がぶっ飛んでいるのであればそれを動画にしてES提出前に見せて「このぶっ飛びに合わないなと思うヒトは選考を受けない方が良いですよ」というメッセージにするのもありですね。

 

反対に「モノ」ですが、こちらはビジネスモデルや独自技術などが挙げられます。

「ビジネスモデル」に特徴があるならば、その理解ができるようなワークショップやゲームなどを開発するのもありです。

もちろん自社に余裕があるのであれば、現場社員に手伝ってもらって実際に現場で簡単な仕事を一緒にやってもらっても良いかもしれません。

ここで大事なのは「業務の何を理解してもらいたいのか・業務に関してどういう特性を持った学生が好ましいのか」を織り込んで選考を考えないといけないということです。

 

※ただ、ここで注意すべきは、当然ですが経営陣や現場社員も巻き込んで作っていく必要があるということです

ここまで実践しようとすると、いわゆる既存の採用方法とは異次元のものになるかと思われるので、それを納得してもらって協力を仰ぐ必要があります。

先ほどの三幸製菓の事例ですと「日本一短いES」などは普通の感覚の経営陣であれば大反対しそうなものですが、それを実行できたのは人事が経営陣を上手く巻き込んで実行出来て居たからでしょう。

 

 

⑤「なぜ自分が内定したのか?」を明示して納得度を上げる

実はこれをすることで内定辞退率がぐっと下がります。

というのも、学生側からしたら基本的には「なぜ受かったの?落ちたの?」という評価軸が分からないのが前提にあります。

なので、「どんな要素を持っていたから内定に結びついて、その要素というのは入社後にこういう風に必要・発揮されていくんだよ」というのがイメージできれば、「なるほど、この会社に入れば理念も業務も選考で理解できたし、性格・能力的にも期待されているから、ミスマッチがすくなさそうだ!」と感じるわけですね。

ここまでいくと普通の選考とは納得度が断然違いますので、学生側も内定を受諾してくれる確率がアップするのも頷けますよね?

 

まとめ

採用ブランディングについて1からまとめてみました。

普段はこうした採用ブランディングを「独自採用」として、様々なクライアント企業へ貢献できるよう尽力しているわけですが、正直なところ、これは自分たちで自前で出来るに越したことはないのです。

やれリファラル採用だなどと右に倣え方式でHow(=戦術)を決めるのではなく、「大手企業との戦を略す」ためにも、そもそもどういう採用が必要なんだっけ?と”戦略”を立てる本質的な思考能力がこれからの人事にはマストになってくるのではないかと僕は思います。

もしこれよりも深い話を聞きたいという方がいたら、お手数ですがこちらのTwitterからDMでメッセージを送ってください。

(普段は好きなアーティストの作品をひたすら研究したりオフ会を開くなどといった奇特なことをしていますが、本業は人事・人材関連で至ってまともな人間です。笑)